大満足✨七の会『私の帰る処』観劇のご報告
7月9日(土)に、七の会による二人芝居二本立て公演を観に、大阪の天王寺へ行って来ました。
6月末に軽い熱中症になり、なかなか治りきらない状態が続いていたのでずいぶん迷ったのですが、足を運んでほんとうによかったと思っています。
『私の帰る処』は、東日本大震災で被災した妹と、父親の介護をするなか心のバランスを崩してしまった姉が、数年ぶりに再会した3日間の物語です。
40分ほどの戯曲のなかに、ここはお客様に笑って欲しいと思って書いたシーンがいつくかありました。
姉妹のやりとりを見て笑ってしまう可笑しみがあり、一方で、それぞれが大きな喪失、失望、不安を抱えている哀しみがあります。それぞれが抱えている問題はこの先、良い方向に行くかも知れないけれど、もっと悪い方向へ行く可能性もあります。
今、自分はあまりいい状態ではない、これからどうなってしまうんだろう… そんな苦しい日々のなかで励みになるもの、ほっと息がつけるもの、それはリラックスできる場所であったり、好きな人と過ごす時間であったり、誰かを思ってなにかをする時間であったりすると思います。つまり、笑いの部分がしっかり伝わってはじめて、この戯曲の目指した世界が伝わると考えていました。
けれども、自分が演出した上演も含めて、これまでその部分は今一つうまくいっていなかったのです。そのことがずっと心残りでした。そして、もしかするとセリフの流れに無理があるのかも知れないと考えたりもしていました。
妹の陽花を演じた小安展子さんは、セリフひとつひとつに豊かな表情があり、観ていてワクワクしました。姉の枇南子を演じた小林みね子さんは、ずっと静かな語り口なのですが、よく通る声がまっすぐに胸に響いてきて、とてもステキでした。
そして今回、七の会さんの上演では、笑って欲しいと考えて書いたシーンで打てば響くように笑いが起こり、しみじみと嬉しく、満ち足りた気持ちになりました。
さらに、ラストシーンの姉妹で歌を歌うシーンの掛け合いはとても難しいのですが、ここでもイメージしたものに限りなく近い光景が繰り広げられていて、感慨深いものがありました。
今回は岸田國士『命を弄ぶ男たち』と二本立てということで、とても緊張しました。
それはもちろん、こんな大家と二本立てって大丈夫なの??? という気持ちです。そしてもう一つ、私は、死にたい病を患っている男性と15年近く暮らし、その苦しむ姿を見てきたので、この戯曲が少し苦手なのです。とはいえ、この二本立てはとても興味深い味わいがありました。
小安さん、小林さん、演出の山崎義史さんと一緒に写真を撮っていただきました。
七の会の皆さん、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。またいつか再演していただければと願っています。ほんとうにありがとうございました。
2022年 海の日 いしざわみな
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